せっかくのLLM生活を教室での勉強一辺倒で染めてしまうのももったいない気がしているので、色々と首を突っ込むように頑張っています。アジアの法律に興味のある学生の団体にも入り、不肖にも役員(といってもたいしたことは求められないのですが)の一員を務めております。
先日、この団体主催で1L(JD1年生を指します。)向けのJob Fairを開催しました。そこで感じたことやアメリカのロースクールの学生たちの就職活動などについて書いてみようかと思います。
まず、アメリカのロースクールは「大学院」としての位置づけなので、入ってくる生徒は「大卒」が前提です。ちなみに、アメリカでは日本の大学の「法学部」に相当するものはなく、ロースクールという「大学院」に進学してはじめて体系的に法律の学習をすることになります。
とあるJD生に聞いたところによるとうちのロースクールの場合、大学を卒業して職業経験なくロースクールに入学してくる生徒が約4割で、残り6割が大学卒業後何らかの職業経験を経たのちに入学してくるようです。職業経験のあるロースクール生の割合が年々増えているとのことです。
ロースクールで3年間学び卒業した後に司法試験に合格して法律事務所に就職して弁護士として活動するというのが一般的な姿です。日本とは異なり、司法修習に相当する制度がないので、ロースクールが実践的な教育の役割をも担っております。私がときどきアップしている「リサーチ&ライティング」のクラスも実戦を意識した授業のうちの一つです(外国人留学生向けにアレンジされていますが)。
では、法律事務所への就職活動はどんな感じなのでしょうか。大雑把に言うと、このような流れのようです。
まず、就職活動のキーポイントは、2L進学時(1Lから2Lにあがるとき)の夏休みにオン・キャンパスで行われるインタビュー(面接)のようです。
8月中旬から下旬の時期にかけて、大都市の大手法律事務所(=多くの人が就職したいと思っているようなところ)の採用担当者がキャンパス付近のホテルを借りてその一室に学生を呼び出して第一次の面接を行います。
建前上はこの時期の面接は、翌夏(2Lから3Lに進学するときの夏休み)のサマー・ジョブのための第一次面接なのですが、その後の面接まで突破してサマー・ジョブを獲得し、それを無難にこなすと、通常は卒業後の就職の内定をもらえます。そこで、この面接を突破すること、その前提としてこのオンキャンパス・インタビューに呼ばれることがとても重要となります。
1L終了後の夏休みにこのようなキーポイントが待っているわけですから、1L生にとっての究極の目標は、「いかにしてあのオンキャンパス・インタビューに呼ばれるか」ということに集約されるといっても過言ではありません(やや言いすぎか?)。
さて、採用担当者が面接できる学生の数には限度がありますので、学生たちは書面審査によるふるいにかけられます。
で、1Lを終了したばかりの学生が自らを語る書面として提供できるのは、①ロースクールの1L時の成績と②レジュメ(履歴書のようなもの)ということになります。就職活動なので、日本同様「コネ」も重要ですが、それはおいておきます。
1L時の成績を見られますので、ロースクールの1年生達は少しでもよい成績をとろうと死に物狂いで勉強しています。うちは東海岸のトップ校に比べるとだいぶ雰囲気は緩やかとのことですが、とある教授がLLM生に対して「サンクスギビング休暇以降は、1Lたちは試験に向けて猛烈なテンションになるので話しかけてはいけない」などと冗談とも本気ともつかないことを言っていました。
彼らはロースクールで初めて法律の体系的な学習をするわけですから、法律のなんたるか、法律の勉強の仕方もまだよくわかっていない段階での試験の成績で大きな方向性が決まってしまうことに関してはなんだか疑問を感じるのですが、就職活動なんてどこもおかしなことだらけなのでそんなものなのかもしれません。
履歴書については、職業経験のある学生はそれを書くことができますが、ない学生は困ってしまいます。そこで、彼らが求めるのが1L終了時の夏休みのサマージョブということになります。この1L終了時のサマージョブは、翌夏の2L終了時のサマージョブや卒業後の就職とはなんら直接の関係がありません。また、ロースクールで1年間勉強しただけの学生にできる仕事にも限りがあります。そこで、とあるJD生は、「1L終了時のサマージョブの最大の目的は、履歴書に書く材料を得ること、そして、オンキャンパスでの面接でのネタ作り」と言い切っていました。
というわけで1Lたちは、初めての法律学習にもがき苦しみ、来るべき試験に対し不安を募らせながらも、さらに、その後の夏休みのサマージョブのことまでも考えなければならないわけです。
1L終了後、サマージョブを世界の各地で行い、8月中旬にアナーバーに戻ってきてオンキャンパスインタビューを受け、2Lの秋学期の授業が始まっていく。。。続きはもちろんあるのですが、こんな生活サイクルになります。
そこで、(ようやく本題に戻るのですが、)ロースクール内の様々なStudent Organizationが「1Lジョブフェア」などと称して、2Lや3Lの先輩学生をパネルとして呼び、1L時のサマージョブについての体験談を語るというような催しが頻繁に開かれています。私が所属しているのはアジアの法律に興味がある学生の集まりなので、それを反映してアジア地域で1Lのサマージョブを行った2L・3Lの学生を呼んでパネルディスカッションを行いました。
続く。
最近のコメント